不倫慰謝料の請求をされた場合、相手方から謝罪文を要求されることがあります。
その際にはどのような文章を書けばよいのでしょうか。
謝罪文を書くことを求められた状況にもよりますが、相手方としては以下の点を求めてくるはずです。
1具体的な不貞行為(不倫)の日時と場所
2謝罪の言葉
3慰謝料を支払うとの約束文言
これらをすべて記載するべきでしょうか。
1を詳細かつ具体的に書いてしまうと、相手方は裁判を起こしやすくなりますので、できれば詳しく書かない方がよいでしょう。
ただし、すでに探偵の調査がされていることが明らかな場合など、不倫関係(不貞行為)自体を争うことができない状況であれば、むしろすべてきちんと説明した方がよい場合もあります。
誠意ある謝罪をしているという点が、慰謝料の減額事由として考慮されるためです。
また、後に調査費用を請求された場合でも、当初から否定しておらず自ら説明しているとなれば裁判で調査費用が認められない可能性が高くなります。
2については、交際相手(不貞配偶者)に騙されていたなどの事情がない限りは、謝罪文言は記載した方がよいでしょう。
(そもそも謝罪の文言を書かないと謝罪文とは言えません。)
謝罪文言の書き方も難しいのですが、「この度はご迷惑をおかけして申し訳ございません。」程度の謝罪にしておいた方がよいでしょう。
謝罪文を書いたにもかかわらず後に裁判などになった場合でも、婚姻関係破綻の抗弁(反論)や過失は無かったとの主張をする可能性があるためです。
もちろん、事実関係や自身の責任について一切反論するつもりはないという場合には「自らの行為を深く反省しております。」などといった文言で謝罪の気持ちを記載すればよいでしょう。
3については記載しない方がよいでしょう。
慰謝料支払の約束を書いてしまうと、慰謝料の支払義務を一方的に認めたことになります。
また、慰謝料の金額まで記載してしまうと、その金額があまりにも高額でない限りは有効と認められてしまい、後で覆すことが極めて困難になります。
謝罪文
●●様
この度は●●様と交際した件でご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
現在訴訟になっているため内容について申し上げることは差し控えさせていただきますが、●●様との関係につきましては私に非があることは十分承知しており、深く反省しております。
また、現時点ではもちろん、今後も●●様とお付き合いすることは一切ないことをお約束させていただきます。
貴殿には多大な精神的ご負担をおかけすることとなり、大変申し訳ございませんでした。
ここに謝罪させていただきます。
令和●年●月●日
(住所)
(氏名) (印)
謝罪文
●●様
この度は●●様と交際した件でご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。
本件につきましては弁護士との委任契約を結んでおり、代理人弁護士から内容に関しての直接のやり取りは禁止されておりますため、本件の事実関係などについて申し上げることは差し控えさせていただきますが、●●様との関係につきましては私に非があることは十分承知しており、反省しております。
また、現時点ではもちろん、今後も●●様とお付き合いすることは一切ないことをお約束させていただきます。
貴殿には多大な精神的ご負担をおかけすることとなり、大変申し訳ございませんでした。
ここに謝罪させていただきます。
令和●年●月●日
(住所)
(氏名) (印)
謝罪文
●●様
この度は●●様との件でご迷惑をおかけしており、大変申し訳ございません。
本件につきましては弁護士との委任契約を結んでおり、代理人弁護士から内容に関しての直接のやり取りは禁止されておりますため、本件の事実関係などについて申し上げることは差し控えさせていただきますが、●●様との関係につきましては私に非があることは十分承知しており、反省しております。
また、すでに貴殿と●●様は離婚していると伺っております。
(もしくは「●●氏より婚姻関係が破綻したとうかがっております。」)
現状のような結果となり、貴殿には多大な精神的ご負担をおかけすることとなってしまい、大変申し訳ございませんでした。
ここに謝罪させていただきます。
令和●年●月●日
(住所)
(氏名) (印)
※例としては以下のような回答文例が考えられますが、交際継続予定の場合は謝罪文は出さない方が一般的です。
回答書
●●様
●●様と交際した件について、貴殿よりいただきました慰謝料請求についてのご連絡です。
本件につきましては、今後弁護士との委任契約を結ぶ予定ですので、現時点で本件の詳細な事実関係などについて申し上げることは差し控えさせていただきます。
もっとも、私は●●様より貴殿との婚姻関係はすでに破綻していたものと伺っており、客観的な事実からしてもそうであると考えておりますので、この点だけはあらかじめお伝えさせていただきます。
具体的な主張につきましては、改めて代理人弁護士を通してご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
令和●年●月●日
(住所)
(氏名) (印)
弁護士法人高須法律事務所
(札幌弁護士会所属)
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