(慰謝料について、以下やや専門的に述べますが、実際のご相談の際にはもっと簡単な言葉でご案内しますので、ご安心ください。)
判例・通説によれば、慰謝料は被害者に生じた精神的損害を填補するものであり、その額は精神的損害の大きさによって決まります。
しかし、填補されるべき精神的損害は、その性質上金銭による評価が困難ないし不可能なものであるため、実際には、裁判官が口頭弁論に表れた諸般の事情を斟酌して裁量によりその額を定めます。
算定にあたって考慮されるべき事情に制限は無く、被害の程度などの被害者側の事情だけではなく、加害者側の事情も入ります。
具体的には、被害の程度、加害者・被害者双方の年齢、学歴、職業、収入、社会的地位といった事情や、不法行為の動機や経過等、多岐にわたります。
また、判例によれば、裁判官は数学の算定根拠を示す必要はなく(大判明治43年4月5日民録16・273)、原告の請求にあたってその額を明示する必要はない(大判明治34年12月20日刑録7・11・105)とされています。
(以上、不法行為法〔第3版〕(有斐閣・吉村良一著)より引用)
このように、慰謝料の金額は裁判官の裁量に任され、その認定が著しく不相当であり経験則または条理に反するような事情が無い限り、上告審でも原判決が破棄されることはありません(最判昭和38年3月26日裁判集(民)65・241)。
一般的に、弁護士を通して慰謝料請求がなされる場合には300万円~600万円程度の請求がなされることが多いと言えます。
なお、精神的な損害である慰謝料のみを請求される場合もあれば、それに加えて調査会社や探偵に依頼した際の調査費用を含めて請求されることもあります。
また、訴訟手続に移行した場合には、当初の請求額に加えて請求額の10%相当額を弁護士費用として併せて請求されることが多いと言えます。
不倫慰謝料の算定要素については、以下のページをご覧ください。
一般的に裁判で認められる慰謝料の金額は、相手方が離婚した場合で200万円~300万円、離婚や別居をしていない場合で100万円~150万円、離婚をしていなくても別居したり離婚調停等になっていれば150万円~200万円程度となることが一般的ですが、個々の事情によってはこの範囲から外れることも十分にありえます。
また、裁判になった場合には、通常は弁護士費用として損害額の10%が上乗せされるとともに、調査費用(探偵費用)が加算されることもあります。
一例として、仮に慰謝料が100万円であったとしても、弁護士費用10万円、調査費用30万円、遅延損害金が加算され、150万円程度になることもあります。
裁判前の交渉では、裁判になった場合の相場を前提に和解交渉をすることになりますが、交際相手に対する求償権を放棄するかどうかによって大きく変わってきます。
求償権を放棄することを前提とした和解になると、上記の金額からさらに半額程度まで下げられる可能性も出てきますが、やはり個別の事情や当事者の意向にもよります。
詳しくは弁護士にご相談ください。
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